暗号解読 下巻 を読んで

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暗号解読 下巻

上巻の感想は、こちら

アルファベットの単文字変換から「エニグマ」まで暗号の歴史を、豊かな物語を用いて、分かりやすく紹介してくれた上巻。

下巻では、ヒエログリフや線文字Bの解読から、暗号に不可欠の「鍵配送」問題の歴史、そして究極形態である量子暗号へ。古代から現代物理学の世界へと物語は進む。

あらゆる技術が、電流をコントロールするような世界から、量子一つをコントロールする世界に向かっているように、暗号化の技術も量子を活用したものが考えられている。人間の単純な認識世界を超えた量子の世界では、観測しようとすると性質が変わってしまうので、解読することは不可能。

最近、東大の工学研究所で量子テレポーテーションが成功したらしいし、電子ひとつの制御で演算や記憶を行う電子トランジスタが開発されたりと、量子力学の世界から技術に応用しはじめるうえで目覚ましい進化が進んでいる。

将来的には、情報伝達において「暗号化」ということ自体必要なくなるかも。ますます見逃せない世界だ。

それにしても、人間の認識からすると意味不明の量子の世界(時空を超えたりする)、意味不明ではあるが、実験ではかなりの正確さが証明されている。その世界を人間が完全に認知する事はできないのかもしれないが、理解する事ができ、それを技術に応用できてしまう。なんとも不思議だ。

暗号解読 下巻

暗号解読 上巻

今回の人物は、シュレーディンガー。本書にはほとんどでてきませんが、「シュレーディンガーの猫」っていう言葉は聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。量子論の摩訶不思議な世界を例えた比喩で使われています。

<エルヴィン・シュレーディンガー>

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